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田中美知太郎「今日の政治的関心」より

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田中美知太郎「今日の政治的関心」より

「コンセンサスが単なる思い込みに過ぎない場合が少なくない。いわゆる世論もその虚偽性を知らねばならないことがしばしばなである。われわれはこれらを厳しく批判して、知性と知識の立場を回復しなければならぬ。常識の立場とは、本来はそういうものなのである」田中美知太郎『常識の立場』
「戦前たしか帝人事件とか呼ばれる事件があって、商工大臣その他の有力政治家が汚職の嫌疑で逮捕され、起訴されることがあった。わたしがこの事件を記憶しているのは、恋愛事件で自殺した京大哲学科出身の三土興三の父親、三土忠造がその被告にいたからである。この事件は後から分かったことだが、いわゆる司法ファッショにつながりがあるということであった。
これは革新官僚や革新軍人など一部に、ドイツやイタリアを中心とするヨーロッパの新しい動きに呼応して、わが国でも昭和維新めいた運動を起そうとしていた者があったからだ。汚職事件などを利用して、政党政治の腐敗堕落を暴露し、政治の流れを変えて、かれらの手に主導権を握ろうとしたわけである。
しかし、その『きれいな』政治というのは、報道や言論を統制して、かれら自身の汚職や腐敗を人に知られないようにしただけのものであろうことは、今日では良く知られている」(「政治家に問う、倫理とは何か」)

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