当塗の人、時要をほしいままにすれば、学士因らざれば則ち養禄薄く礼卑し、故に学士之が為に談ずるなり。

又将に法術の言を以て人主の阿僻の心を矯めんとす、是人主と相反するなり。勢いに処ること卑賤にして、党無く孤特なり。

人主の左右は、行い伯夷に非ざるなり。求索して得ず、貨賂至らざれば、則精弁の功息み、而して毀誣の言起こる。

功伐を以て智行を決せず、参伍を以て罪過を審らかにせず、而して左右近習の言を聴かば、則無能の士は廷に在りて愚汚の吏は官に処る

夫れ隠活の法を棄て、度量の数を去らば、徑仲をして車を為らしむるとも、一輪を成す能わず。慶賞の勧、刑罰の威無く、勢いを釈て法を委つれば、尭・舜戸ごとに説きて人ごとに之を弁ずとも、三家を治むる能わず （韓非子）

故に人事を行い施予するに、之を利とするを以て心と成さば、則ち越人も和し易く、之を害とするを以て心と為さば、則ち父子も離れ且つ怨む

故に至安の世は、法、朝露のごとく、心に結怨無く、口に煩言無し。 豪傑名を図書に著さず、功を盤孟に録さず、記年の蝶空虚なり。 故に曰く、「利、簡より長きは莫く、福安より久しきは莫し」