スターリン共産党が、粛清したり、追放した党幹部を記録から抹消することは有名だ。
トロッキーやその他、そのように生命だけでなく、歴史から抹殺された者は数知れない。
ジョージ・オーウェルの名著「1984年」には次のような一節がある。
「テレスクリーン番組課があり、そこで訂正済みの記録文書が保管されたり、原本が廃棄されたろする。指導部は過去の断片について、これは保存し、あれは変造し、別のは抹消すると決定するのだ」
スターリンやその他の独裁体制による記録の変造、末梢の実例や手法については、「歴史写真のトリック」アラン・ジョベール著 朝日新聞社刊に詳しい。
何やら仰々しく書きだした理由はほかでもない。民主党のことである。
現在の民主党にとって、「壊し屋」小沢一郎はまたも党を壊した男として忌み嫌われている。
明らかに嘘だが、そうはいっても聞く耳を持つものはわずかなので、これはいい。
つらつらと考えているうちに小沢氏とともにもう一人、民主党の「歴史偽造の犠牲者」がいることに気付いた。
鳩山由紀夫氏である。彼は小沢一郎氏とは違い、民主党創業者であると同時に政権交代の立役者だ。
民主党代表戦で候補者が「原点に戻れ」というとき、当然彼は含まれないとおかしい。
ところが彼らの頭に彼の存在が入っているのかどうか、疑わしい。
いずれにせよ、現在の民主党がいかに歴史を書き換えようとしても、小沢氏は抹殺できても鳩山氏の存在は消し切れない。
歴史を直視し、謙虚に学ぶ姿勢は自民党だけでなく、民主党にも必要だ。(了)